パイロットランプを使った回路の組み方

「常時点灯」、「同時点滅」、「異時点滅」、この回路は電気工事士の試験にも出題される基本的なものです。

パイロットスイッチ

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パイロットランプ

確認表示灯とも呼ばれ、その名の通り通電状態を確認するためのものです。

例えばパソコンのスイッチを入れた時になにかしらランプが光りますよね。

残念ならが電気は目に見えないので、光でお知らせしているというわけです。

パイロットランプの用途

ネットで検索して頂ければわかると思いますが、パイロットランプには使用する用途によって様々な大きさや形の物が販売されています。

光源はネオン管や最近では発光ダイオード(LED)を利用したものが主流になっています。

パイロットランプを選ぶ場合は電源(AC/DC)の違いや定格電圧に注意して下さい。

自動車など

例えば自動車で利用するなら電源はバッテリーなので当然DCとなります。電圧は12Vまたは24Vがありますが国産の乗用車であれば12Vで間違いないでしょう。

電気工事

また、電気工事でスイッチ枠に取り付けて利用るものではAC電源の100V用または200V用があります。

電気工事で利用するパイロットランプ

パイロットランプ

最近の住宅ではパイロットランプとスイッチを組合わせて確認表示灯を設置するケースはほとんどありません。

代わりにスイッチとパイロットランプが一体となったタイプが利用されているからです。

皆さんのお住まいにもスイッチボタンの一部がオレンジや赤または緑色などに光っている物があるのではないでしょうか。

住宅に使用するならデザイン的にパイロットランプ一体型スイッチの方が断然に優れていると思います。

ホタルスイッチ

しかし今でもパイロットランプは販売されており、住宅に限らず利用場所は多くあると思います。

また第二種電気工事士の資格を取得するための技能試験においては、公表問題の中でパイロットランプを使用するものが含まれています。

電気工事士として屋内配線を行う上でパイロットランプを使うことは基本だと言う事なのでしょう。

それでは電気工事で利用するパイロットランプについて、その「タイプ」「用途」「結線方法」などを詳しく説明します。

パイロットランプのタイプ

まずはじめにパイロットランプには二つのタイプがあります。それぞれに特徴や癖があるので利用シーに合わせて選択します。

電流検知型

[電流検知型]
  • 接続された負荷に電流が流れる事によってランプを点灯させています。
  • 仮に負荷が壊れて電流が流れない場合にはランプは点灯しません。
  • 価格が電圧検知タイプに比べ高くなります。
  • 適合負荷があるので注意する必要があります。(パナソニックの場合0.5A、4A、15Aの3タイプ。適合外では点灯しない。)
電流検知の解説図

電圧検知型

[電圧検知型]
  • 電気工事士の技能試験で使用されるのはこのタイプになります。
  • パイロットランプに電圧がかかる事によりランプが点灯します。これは普通の電球と同じことですね。
  • 価格が電流検知型に比べ安くなる。
  • 回路を組みかえによって「常時点灯」「同時点滅」「異時点滅」させることが出来る。
  • 負荷が壊れていても点灯する。
電圧検知型の解説図

パイロットランプの点灯/点滅方式

スイッチの背面

パイロットランプを設置する場合はその目的に応じた点灯の仕方になるように結線を行います。

点灯方式は以下三つのタイプから選択して行います。

※以下の配線図では黒を非接地側、白を接地側、赤を負荷へ接続するものとして描いています。

パイロットランプの常時点灯

スイッチのON/OFFに関わらず常に点灯します。

パイロット常時点灯配線図

パイロットランプの両端に電源をダイレクトIN、それだけです。

スイッチ回路とは関係ありません。

パイロットランプの同時点滅

スイッチがONの場合に点灯します。

パイロット同時点滅配線図

常時点灯回路の電源(非接地側)とパイロットランプの間にスイッチをかませているだけです。

パイロットランプの異時点滅

スイッチがONで消灯、スイッチがOFFで点灯します。

パイロット異時点滅配線図

パイロットランプとスイッチを並列に繋ぎます。

この回路でなぜそうなるのか?

スイッチがOFFの場合は普通にパイロットランプへ100Vの電圧がかかるので、何も悩む事はないと思います。

問題はスイッチをONにした時です。

両方点灯するんじゃないの?と思いますよね。

並列接続なので分散しそうですが、ほとんどが通りやすい方(スイッチ側)へ行ってしまいます。

パイロットランプへも多少流れますが、点灯させるほど力はありません。

分かりにくければスイッチONとOFFの状態の時に、テスターを使ってパイロットランプの両端を測ってみましょう。

三路スイッチとパイロットランプ

もちろんですが、パイロットランプと三路スイッチを組合わせる事も可能です。

三路回路でパイロットランプの同時点滅

次の図の現在の状態は電球が点灯し二つのパイロットランプも点灯している状態です。赤く表示した部分が電球へ流れる電流のラインで、緑と青がパイロットを点灯させるためのラインです。この流れを一度しっかりと確認してください。

  1. 負荷の接地側(電源の白側へ戻る線)を分岐してそれぞれのパイロットランプへ接続します。
  2. 三路スイッチの0番から出た線を渡り線でパイロットの端子へ接続します。
  3. パイロットの内部接続されたもう一つの端子に接続した線を分岐して、一つは負荷へ、もう一つは反対側のパイロットランプへ接続します。
三路、パイロットと同時点灯の回路図

三路回路でパイロットランプの異時点滅

同時点滅より考え方が少し複雑かも知れませんが、分岐が無いぶん回路じたいはスッキリとまとまっています。先ほどと同じように回路をゆっくりたどってみてください。

パイロットランプ消灯

まずはじめに電球が点灯、パイロットが消灯している状態から見ていきましょう。赤いラインをたどってみてください。

三路、パイロットと異時点滅の回路図

パイロットランプ点灯

次は電球が消灯、パイロットが点灯している状態です。回路をたどると電球を通過していますが、パイロットランプの抵抗が大きいので電球が点灯することはありません。

三路、パイロットの異時点滅

三路回路でパイロットランプの常時点滅

前項で説明したパイロットランプの常時点灯の時と全く同じです。そもそも常時点灯させる場合は三路回路でも四路回路でも関係ありません。スイッチ回路に依存しないので、電源をパイロットランプに直接つなぐだけでOKです。

パイロットランプ付きスイッチ

パイロットランプ付きスイッチ

これはスイッチの内部にパイロットランプが埋め込まれています。

従来のパイロットランプのように点灯点滅パターンを回路の組み替えによって作るのではなく、「スイッチONでランプが点灯(同時点滅)」するタイプや「スイッチOFFでランプが点灯(異時点滅)」するタイプなど、動作に合わせたスイッチが販売されています。

工事の際には利用シーンにあわせて使うスイッチを選ぶことになります。

以下はパナソニックのコスモシリーズのラインナップを記載します。

埋込ほたるスイッチ

  • スイッチがOFFの時に緑色ランプが点灯
  • 電圧検知タイプ(100V用AC15A)
  • 階段や廊下で、夜間など暗い場所でも簡単にスイッチの場所を見つける事が出来ます。

埋込パイロットスイッチ

  • スイッチがONの時赤色LEDが点灯
  • 電流検知タイプ(負荷電圧300V、電流0.5A、4A)
  • 電圧300Vまで
  • 片切タイプと3路タイプがあり。
  • スイッチを選択する際には負荷電流に注意して下さい

埋込パイロット・ほたるスイッチ

  • スイッチがONの時赤色LEDが点灯
  • スイッチがOFFの時に緑色ランプが点灯
  • 電圧100V用と200V用があり。
  • 片切、3路、4路
  • 負荷電流0.5A~15Aまで。

埋込ひかるスイッチ(3線式)

  • スイッチがONの時赤色LEDが点灯
  • 電圧検知タイプ(100V用AC15A)
  • 負荷容量に関係なく利用出来る
  • 接続には3線式
ひかるスイッチ配線図

パイロットランプ結線の練習問題

以下の図それぞれに2本の線を追加して三つの回路を完成させてください。

非常に単純な問題なんですが、意外にできなかったりします。

これが瞬時にできれば、もうパイロットランプの結線は完璧です。

まぁとはいっても使わない知識は忘れていくものです。あれっと思ったらまたこの問題を思い出して下さい。

パイロットランプ結線の練習問題

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