テスターは使い方を間違えると壊れます
(更新日: )
テスターをはじめて使われる方や、これから購入を考えている方のために具体的な利用例を交えて有効な使い方を説明します。
ちょっとまって!いきなり測定はやめましょう。
使い方を間違えるとテスターや測定対象物を壊す事にもなりかねません。
テスターとは直流や交流の電圧、電流または抵抗値などを測定するための計測器を指します。
主に電子回路の製作や電気工事を行う際には必須の計測器です。
テスターは使い方によって危険を生じる場合もあるので初めて利用される方は十分注意が必要です。
はじめてテスターを購入した場合、とりあえず何かを測定したくなると思いますが、まずは説明書をしっかりと読んでください。
誤った測定はせっかく購入したテスターを壊しかねません。下手をすれば測定の対象物まで壊してしまう場合もあります。
いきなりコンセントにテストリードを突っ込んだり、ブレーカーボックスを開けて中をつつきまわすような事はしないでください、ほんと危ないですから。
このページではテスターの紹介と簡単な使い方の説明をしています。今後本格的にテスターを使用されるのであれば、安全のためにもある程度電気の知識を身につけられる事をおすすめします。
テスターには「デジタルテスター」と「アナログテスター」の二種類があります。それぞれに違いや長所・短所をがあります。
最近ではDMM(デジタルマルチテスター)といって多機能ながら小型で、カードタイプのモノなどは胸ポケットにもスッポリおさまり持ち運びには非常に便利です。
電流・電圧以外にも、コンデンサの静電容量、周波数、や温度などの計測や暗い場所でも見えるバックライトやスイッチを切り忘れていざ使おうとした時に電池が切れなんて事にならないオートパワーオフ機能など、実務には強い味方になると思います。
利点としては表示が針であるということ。当り前じゃないか!と言われそうですが、具体的な数字より針の振れ方で相対的に見るという用途に向いていると思います。
正確さの面ではそのモノの精度によって違うので「アナログ」「デジタル」のどちらが良いとは言えませんが、数値を細かく読み取ることに重きを置けばアナログテスターは読み取りづらいというのが正直なところでしょうか。若い人ならともかく老眼世代にはつらものがあります。
クランプメーターとは回路を切断する事なく電流の測定が行える機器です。
テスターでの電流測定に比べ簡単で素早く安全に測定行う事が可能です。
主要なメーカーから販売されている物には交流のみ測定を行うAC専用タイプと、交流/直流を切替て測定できる両用タイプがあります。
価格的にはAC専用タイプの方が安く手に入るので、用途がはっきりしている場合はAC専用タイプがおすすめです。
またテスター同様に電圧や抵抗が測定出来るマルチタイプも多く販売されているので、クランプメーターをメインで利用されるなら別々に揃えるよりかなり割安になると思います。
クランプメーターには実効値方式と平均値方式の二つのタイプがあります。実効値方式のほうが誤差が少なくなりますが、価格も高価になります。
平均値方式を選ぶ場合は測定対象物によって誤差が生じるので注意が必要です。
クランプメーターでの電流測定は非常に簡単で、測定箇所の配線をはさむだけです。
配線は必ず一本ずつ挟みできるだけクランプの中央を通るようにします。
漏れ電流とは、本来流れてはいけない部分へ電流が漏れ出す事です。
機器の不具合で漏電が起これば、漏れ電流が発生します。
クランプメーターを利用すれば、配線を二本同時に挟み込む事により漏れ電流を測定することが可能です。
通常は二本同時に挟んだ場合測定値は0ですが、漏れ電流がある場合数値が表示されます。
クランプメーターの計測数値が1㎃以下なら許容範囲です。
え!0Aじゃないとダメなんじゃ?と思われるでしょうが、許容範囲があるんです。
これは電気設備に関する技術基準が元になっています。
【低圧電路の絶縁性能】(省令第5条第2項、第58条)
第14条 電気使用場所における使用電圧が低圧の電路は、第147条から第149条までの規定により施設する開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる 電路ごとに、次の各号のいずれかに適合する絶縁性能を有すること。
(電気設備の技術基準の解釈)より
- 一 省令第58条によること。
- 二 絶縁抵抗測定が困難な場合においては、当該電路の使用電圧が加わった状態における漏えい電流が、1mA以下 であること。
漏電遮断器の定格感度電流が30㎃ならば
そうです
5㎃程度の漏れ電流があってもわからないという事になります。
漏れ電流にも「容量分漏れ電流(Ioc)」と「抵抗分漏れ電流(Ior)」の二種類が存在します。
前者につては漏電とはみなされません。
一般的なクランプメーターで計測した場合はどちらの電流かは区別する事が出来ません。
効率よく漏れ電流の検査を行うためにはIor専用のクランプメーターを選択する必要があります。
俗にメガテスターとも呼ばれていますが今まで紹介したテスターとは利用用途が異なります。
電気機器や部品、屋内配線などの絶縁抵抗を測定する機器です。
☆日置電機/HIOKI IR4033-10 メグオームハイテスタ(3レンジ・L9787付) コード(0570-12-0403310)
価格:
34,650円
感想:0件 |
電路と大地間の絶縁性をいいます。??となった方も多いのではないでしょうか。
分かりやすく言えば、電路を「洗濯機」とすれば大地は「アース線」となりその間を測定した値が絶縁抵抗となります。
これからテスターの購入を考えておられる方におすすめするならデジタルテスターです。アナログテスターは測定方法を間違えると壊れるというリスクが高いので、特に初心者にはデジタルテスターが良いのではないでしょうか。
サンワ(SANWA)ハイブリッドミニテスター(マルチメーター+クランプメーター) PM33a 価格: 14,351円 |
テスターも例外なくピンからキリまで様々です。デジタル・アナログにかかわらず、価格は1,000円以下で買えるものから10,000円以上する高価なもまで幅広くあります。どんなモノでもそうですが、価格に比例して品質が良くなるのは言うまでもありません。品質以外にも機能が増えるほど高くなります。
計測するシーンにもよりますが、精度の高い数値が必要ならあまり低価格のモノはおすすめしません。
テスターの使い方といっても簡単に「こうやってこう使います!」と言えるものではありません。
操作だけについて言えば次のようになります。
以上、じつにシンプルですよね
でも実際に皆さんが知りたいのは次のようなことではありませんか?
今、あなたがテスターを使おうとしているという事はそこに何か「調べたいもの」「測りたいもの」があるはずですよね。
テスターが測れるものは主に「電流」「電圧」「抵抗」の三つです。
例えば目の前にあるコンセントに電気が来ているのかどうか?を調べる場合、何を測れば良いのか分かりますか?
「電圧」ですね。分からなかった方は少し電気の知識が必要だと思います。
テスターがきちんと使えていない、わからない、と言う方はこのあたりが曖昧になっています。
まずは自分が計ろうとしている部分で必要なのは「電流」「電圧」「抵抗」どれなのかが的確に分かるように勉強して下さい。
測定すべきモードが的確に判断出来るようになったら、モードごとの操作方法を確認していきましょう。
テスターを使う前に、テスターが正常に動作するのか簡単なチェックを行うようにしましょう。これからテスターを使い始めるなら毎回必ず行うように癖づけておくといいですよ。
[テスト手順]
これはいったい何をしているのかというと、テスターにつながるテストリード線が断線していないかを確認しています。
断線する原因として、リード線をくるくるっと巻いてポケットや工具箱などに押し込んでいませんか?
テスターの使用頻度が高い方ほど注意が必要です。特にカード型のマルチメーターなどを利用している場合によくやります。
計測器全般に言える事ですが、デリケートなものが多く雑に扱うとすぐ壊れます。丁寧に扱うのはもとより、使用前の点検は欠かさず実施してください。
テスターも種類が多く色々なタイプのモノが販売されおり、ここでの説明がそれら全てをカバーするものではありません。実際の操作はお手持ちの計測器に付属の取扱説明書をよく読んでから行って下さい。
※ここでは一般的な操作方法として説明させて頂いているので、お手持ちの計測器が同じ操作方法であるとは限りません。
誤って計測器を破損された場合当方では責任を負いかねますのでご注意下さい。
電圧測定はテスターで一番よく使う測定モードだと思います。
例えば何かの電気製品が突然動かなくなった場合、接続されているコンセントの電圧を測定する事でその原因を電源側と機器側で切り分け出来ます。
コンセントで100Vを確認出来たなら次は機器側の電圧を順に追いかけて故障の判定に利用するという使い方も多いかと思います。
このように電圧測定は目では見えない電気の流れを調べるために大いに活躍します。
電圧測定にはもう一つ役目があります。
例えばエアコンでは100Vで動作する製品と200Vで動作する製品があります。電気屋さんが工事する際には分電盤で電圧を測定する事で機器に合った電源を正しく接続できるというわけです。
必要な電圧量を確認するためにも電圧測定モードは役立ちます。
[測定手順]
[テストリードが分離しているタイプの場合]はモードに応じた端子に差し込む。
黒リード用のCOM端子は共通なので1つしかありませんが、赤リード用の端子は、V(電圧)Ω(抵抗)用とA(電流)用で差込む端子が変わるので注意して下さい。
※電圧を測定する場合は回路の電源を入た状態で行います。リード棒をあてる際には不要な部分に触れないよう注意しながら行って下さい。
主に抵抗器などの抵抗値を測定するモードです。電子回路の製作などでは頻繁に利用されると思います。その他にもモーターやヒーターなど、部品の抵抗値から故障の判定を行う事もあります。
[測定手順]
※回路内での測定を行う場合必ず回路の電源は切って下さい。回路内で抵抗を測定した場合、合成抵抗となるので注意して下さい。
ここでは直流電流の測定方法を説明します。交流電流の測定にはクランプメーターという計測器を使用する場合が多く、あまりテスターで交流電流の測定は行いません。テスターの種類によっては交流電流を測定するモードが無い物も多くあります。
レンジの切替が必要なタイプの場合は適切な単位に合わせる必要があります。以下の単位を参考にして下さい。最大定格を超えての測定は電流ヒューズが飛んだりテスターを破損させる場合があります。
[測定手順]
テスターでは測定のほかにも部品や回路のテストを行う事が出来ます。
配線や回路などの目視出来ない部分がきちんと繋がっているのかなどを調べる事が出来ます。
[手順]
※回路内での測定を行う場合必ず回路の電源は切って下さい。
ダイオードに電流を流す事により正しく動作してるかを確認することが出来ます。
ダイオードに流れる電流の向きに対してテストリードの赤と黒が順方向では電圧を表示し、逆方向ではOLとなります。両方で電圧が出た場合やどちらもOLの場合はダイオードが壊れているという判定が出来ます。
デジタルテスターとアナログテスターでは電流の流れる向きが逆になるので注意して下さい。
[手順]
アース端子付きのコンセントにアース線が繋がっているのかを確認する事が出来ます。
もちろんこれは表側の話ではなく、アース端子が正しく接地されているのかと言う事です。
[手順]
0Vの場合
まったく接続されていません。
例えば70Vなどの数値が出ている場合接続はされていますが完全ではありません。
電圧が低いほど状態は悪いとも言えます。
コンセントの反対側で100V
テスターの左側リードとアース間で100Vが出る場合は、電源線の接地側と非接地側が逆に接続されています。
これに関して言えばコンセントを使用する側(機器)に大きな影響はありません。
そもそもコンセントはどちら向きにでも差せるので……
コンセントを逆に接続する事で問題が起きるような機器は一般的な家電の中にはありません。
また、そのような機器をお持ちの方がいらっしゃるならテスターでの事前チェックが必須となるでしょう。
関連記事(電気と知識)