電線とケーブル

「電線」と「ケーブル」どちらも同じ物なのでしょうか?


窓際にカーテンと花瓶に花

(更新日:

電線と聞いて真っ先に思い浮かぶのは

電柱と電柱の間にぶらさがっている黒い線ではありませんか?

電線といっても種類の多さにびっくり

電線を探していて、あまりの種類の多さに戸惑いを覚えたので簡単にまとめてみました。

電線とケーブル

そもそも電線とケーブルは違うものなのでしょうか?

電線とは電気を伝送するための金属の線で、その中の一つにケーブルが含まれています。

使う場所や用途によって色々な種類があり、同じ電線でも呼び方が少しづつ違ってきます。

家の中を見回せば黒や白色のコードがコンセントに繋がっていますよね。

それらはテレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電に電気を送るための電源コードです。

これを電線と呼ぶ人は少ないと思いますが、電源コードも電線の一種になります。

「電線」と「ケーブル」は次のように区別されることもあります。

電線

電線の断面

導体を絶縁物(絶縁体)で覆ったもの。

簡単に言えば銅線の周りにビニールを巻いたものです。

電気を通す導体が一本だけの単純なものです。

何かの電気機器に電気を送る(電源を繋ぐ場合)にはこのタイプの電線なら2本必要になりますね。

ケーブル

ケーブルの断面

複数の電線を外装で覆い1つに束ね、強度や絶縁性能を上げたものです。

例えば電線が3本(3心)入ったケーブルなら、うち2本を電源、残りの1本をアースとして使います。

電線なら3本必要ですが、ケーブルなら1本あれば済みますね。

また、ケーブルには電源を送る以外の用途でも使われます。

皆さんもご存知のUSBケーブルやLANケーブルがそれで、電気信号を送るために使われます。

ちなみにLANケーブルの中にはすごく細い電線が8本も入っています。

LANケーブル

ケーブルには非常に小さい電気(1V~)を流すものから大きな電気(~6600V)を流すものまで幅広い範囲で使われています。

電線とケーブルの関連用語集

電線やケーブルの説明の中で、色々な専門用語が出てくるので簡単に説明します。

単線とより線

よりせんの断面

単線は導体が一本ですが、撚り線は図のように複数の導体を撚り合わせて一本の導体を作っています。

単線

より線と太さが同じなら、流せる電流が大きい。曲げに弱い。

より線

単線と太さが同じなら、流せる電流が小さい。曲げに強い。

電線の単位

電線には単線と撚り線があると言いましたが、それぞれに太さの単位が異なります。

mm(ミリ)

これはお馴染みの単位なので分かりますよね。単線の太さは心線の直径を表しています。1.6mmや2mmなどが印字されますが、現場ではmmを付けずに「1.6」「2」などと呼びます。

sq(スケア)

撚り線の太さは断面積で表しています。2sqを「ニスケ」、8sqを「ハチスケ」と呼ぶかと思えば、3.5sq「サンテンゴ」5.5sq「ゴウテンゴ」などと言います。あれ「スケ」はどこへ行ったんだ?まぁその辺は重要な事ではないので流して下さい。

導体と材質

ここでいう導体とは電気を通す物体(電気伝導体)のことで、主に銅やアルミが使われています。

いちばん伝導率が良いとされるのは銀ですが、高価なのでほとんど使われる事はありません。

銅線でさえ盗まれるのに、銀の線なんて使った日には施工したものまで外して持っていかれそうですね。

絶縁体

絶縁体とは電気をほとんど通さない物質の事です。

電線はこの絶縁体で覆われているので、人が触っても感電しないんです。

しかし絶縁体にも限界があり、それを超える膨大な電気が流れた場合は崩壊します。

絶縁体には「ビニル」「ゴム」「ガラス」「プラスチック」「木」「紙」「油」などがあります。

電線の絶縁体として多いのは「ポリ塩化ビニル」「架橋ポリエチレン」の2つです。

耐トラッキング性

トラッキング現象

これは電線やケーブルに使われる絶縁体の性能を評価するものです。

トラッキング現象は知っていますよね。コンセントに積もったホコリを伝って漏電するやつです。

電線やケーブルも炭化物が蓄積することによりトラッキング現象が起きる事があります。

絶縁体の種類によってトラッキング現象に対して弱い物や強い物があります。

電線の太さと電流

電線は太さによって流せる電流(許容電流)が決まっています。

電柱にぶらさがってる電線とお家にある家電の電源コードを比べてみてください。

まぁ電柱の電線は近くで見れませんが、それでも太さの違いはわかると思います。

許容範囲があるという事は、それ超えるとまずい事が起こります。

簡単に言うと燃えるかもしれない。

許容範囲を超える電流を流すと電線はどんどん熱くなります。

その熱の度合いによっては絶縁体が燃え、周りに燃えやすい物があれば引火によって火災が起こります。

何も知らずに電線を繋ぐと大きな事故を起こす危険があります。

無資格者が電気工事をしてはいけませんと言う理由の一つには、こういう事があるからです。

以下参考まで(第二種電気工事の筆記試験で出題される範囲です)

※単線と撚り線では同程度のサイズでも流せる電流に少しだけ差があります。

単線 より線
直径(mm) 許容電流(A) 断面積(mm²) 許容電流(A)
1.6 27 2.0 27
2.0 35 3.5 37
2.6 48 5.5 49
3.2 62 8 61

電線とケーブルの種類

あまりにも多くの種類があるので、代表的なものだけ書き出します。

電線の種類

電線とケーブルの種類

IV

用途:
600V以下の電気機器や制御盤の配線に使用されます。また、コンセントの渡り線やアース線としても利用される。
特長:
配線材料としてもっとも一般的。定格温度60℃
材質:
ビニル絶縁電線
その他:
カラーバリエーションが豊富

KIV

用途:
600V以下の電気機器の配線及び制御盤の配線に使用されます。
特長:
IVと比べ線心の撚りが細かいので可とう性に優れている。定格温度60℃
材質:
ビニル絶縁電線

KIP

用途:
キュービクルの配電盤内の配線など、主に高圧電線路に利用されています。6600V耐圧の高圧絶縁電線です。
特長:
可とう性に優れている、80℃の耐熱性能、耐トラッキング性に優れている
材質:
絶縁体にはEPゴム(エチレンプロピレンゴム)が使われています。
その他:
第一種電気工事士の技能試験では一番細い8sq(スケア)が使われています。

KIC

用途:
キュービクルの配電盤内の配線など、主に高圧電線路に利用されています。6600V耐圧の高圧絶縁電線です。
特長:
90℃の耐熱性能、耐トラッキング性に優れている
材質:
架橋ポリエチレンが使われています。
その他:

ケーブルの種類

VVF

VVFケーブル
用途:
一般家庭の屋内配線
特長:
定格電圧600V、許容温度60℃、単線で太さが1.6mmや2.0mm、2.6mm、線心数は2心、3心、4心とありますが、主に使われるのは2心と3心です。
材質:
ビニル絶縁ビニルシースー

VVR(SVケーブル)

用途:
低圧配電用ケーブルです。住宅及び建築物の屋内配線に幅広く使用されています。
特長:
定格電圧600V、許容温度60℃,VVFの形状を丸型にしたものです。単線とより線があります。より線にはサイズも豊富にあります。
材質:
ビニル絶縁ビニルシースー

EM-EEF(エコケーブル)

用途:
一般家庭の屋内配線
特長:
定格電圧600V、許容温度75℃,見た目はVVFと同じ平型で、性能面でもほぼ同等です。廃棄の際に環境への影響が少ないことが特徴。価格と施工性ではVVFに劣ります。
材質:
耐熱性ポリエチレンシースー

CVケーブル

CVケーブル
用途:
電柱から住宅への引き込み線や電力計や主幹ブレーカーまでの配線に利用される事が多い。
特長:
定格電圧600V、許容温度90℃、屋外や地中への埋設工事などで使用する事が可能です。埋設と言ってもケーブルを直接土の中に埋める事は出来ません。
材質:
架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースーケーブル
その他:

CV-2C、CV-3C

CVT、CVD、CVQ

CVTケーブル
用途:
CVケーブルと同じ
特長:
一本のCVケーブルをより合わせることで施工性と放熱性の向上を図っている。
材質:
架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースーケーブル
その他:
2本撚りをCVD、3本撚りをCVT、4本撚りをCVQと呼びます。

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