低圧電気取扱業務特別教育

電気工事士を取得していても、安全確保・事故防止の為、厚生労働省管轄の特別教育の修了が必要となります。


分電盤の点検

(更新日:

どういった資格ですか?

これは資格ではなく講習です。感電災害を防止するたに行われる教育です。

試験はあるの?試験はあるの?

試験はありませんが、学科と実技の講習を受講します。講習終了後には終了証が交付されます。

低圧電気取扱業務特別教育とは

講習であって資格ではありません。 この講習は感電事故を未然に防ぐことを目的として行われているものです。

対象者には受講の義務があります

感電の恐れがある業務(規定あり)に就いている方は必ずこの教育を受ける事が義務付けられています。

これは法律でも定められている事で、もちろん違反に対して罰則も設けられています。 とは言っても自分自身のための教育なので、電気を取り扱う仕事に携わる方は必要の有無に関わらず受講をおすすめします。

受講の対象者はこんな人

以下の業務に該当する方が受講の対象となる方です。

  • 充電電路の敷設若しくは修理の業務
  • 充電部分の露出した開閉器の操作の業務
充電電路とは
簡単に言うと電圧がかかっている状態で、当たり前ですが裸線に触れると感電します。
受講資格
基本的に年齢や学歴などの制限はありませんが、講習を行う機関へ直接お問合せ下さい。

自分の業務が受講の対象範囲となるのか迷う事があれば、労働局または労働基準監督署に直接問い合わせてみましょう。

ジャンルに関係なくお役所の文章は読んでも判断に困るものが多くあります。そういった場合は自己解決せずに担当部署にどんどん問い合わせましょう。

万が一曖昧な答えしか返ってこない場合、そのまま引き下がらずに正確な回答を求めましょう。

電気工事士は受講する必要があるのか

疑問を持つ人

答えは「受講の必要あり」です。この講習は電気系資格の有無は一切考慮されません。

例えば電気工事の資格を持たれている場合、感電についての危険性も理解しています。しかも資格の中でも上位にあたる国家資格なら大抵の講習は免除されそうなものです。

ではいったい何故そのような事になっているのでしょうか?

管轄する省庁が違います
庁舎イメージ
電気工事士を管轄するのは経済産業省です
その目的は電気工事に起因する事故を防止するためにあります。
低圧電気取扱業務特別教育は厚生労働省です。
こちらは労働者の安全と健康を守るという目的のために行われています

仮に同じ省庁での管轄であったならば、このあたりの融通がきいたのかもしれませんが?この管轄の壁は分厚く高いので超えられることはないでしょう。

事業者で講習を実施する場合

低圧電気取扱業務特別教育とは本来は事業者が雇い入れ時に、感電の恐れがあるような業務につかせる者に対して必ず実施しなければいけないものです。

事業所での実施が難しい場合でも、社団法人や電気保安協会など多くの機関で有料講習を行っています。

一人親方として個人事業を営んでいる方はご自身で外部機関の講習を受講する必要があります。

特別教育の概要

事業者が講習を行う場合には以下の様な規定があります。

講師について
講師の資格要件は定められていませんが、教習科目について十分な知識、 経験を有する者でなければならないこととされています。
時間について
通常の労働時間内に行う事。時間外に行う場合はその分賃金を支払う必要がある。
外部講習を受ける場合
講習にかかる費用、旅費交通費は事業者が負担する事
講習の内容
「安全衛生特別教育課程」に示される科目と時間に沿った内容で行う必要があります。
記録の保管
特別教育を行った場合、その記録を3年間保管する必要があります。

科目の免除について

労働安全衛生規則の第一編、第四章には以下のような条文があります。

‟第 37 条 事業者は、法第 59 条第3項の特別の教育(以下「特別教育」という。)の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができる。"

出典 電子政府の窓口|e-Govtate|労働安全衛生規則

この条文では「特別教育」全体のことについて書かれています。 省略する場合、事業者で適正な判断が必要になります。例えば電気関係の資格があるという安易な理由で省略するというのは間違いです。

一部の講習に関しては省略について細かく書かれた通達が出ているものもあります。

万が一監査が入ってその省略は不適切と判断された場合には罰則を受ける事になります。

特別教育を行わない場合

事業者に対して罰則が科せられます。

罰則について
特別教育を行わなかった場合。 罰則:6 ヶ月以下の懲役又は 50 万円以下の罰金となります。

低圧電気取扱業務特別教育のなかみ

講習には2つのタイプがあります。どちらのコースも学科の内容には変わりなく、実技内容が異なります。講習を行う機関によって実施されているコースが異なります。

1日コース
学科7時間と実技1時間
2日コース
学科7時間と実技7時間

具体的な講習内容

2日間の内容を以下表にまとめています。

1日目(学科)
内容 時間
低圧の電気に関する基礎知識 1時間
低圧の電気設備に関する基礎知識 2時間
低圧用の安全作業用具に関する基礎知識 1時間
低圧の活線作業及び活線近接作業の方法 2時間
関係法令 1時間
2日目(実技)
内容 時間
低圧の活線作業及び活線近接作業の方法 7時間

受講機関や料金について

低圧電気特別講習を事業所に代わって行ってくれる代表的な機関です。こちらでは講師派遣や出張講習も行っているようです。サイトから簡単に見積もりも行えます。

(社)安全衛生マネジメント協会
製造業向けに講習会を行っています。
サイトへのアクセスはこちら
(財)中小建設業特別教育協会
建設業の方向けに講習を行当ています。
サイトへのアクセスはこちら

受講料は一律ではなく研修機関により異なります。1日コースで約1万円前後が多いようです。実技と合わせた2日間のコースでは約倍の金額になります。

(社)建設不動産総合研修センター
オンラインでの受講が可能です。録画の配信なので場所や時間の制限がありません。もちろん実技講習は実施されないので、事業所などで行い所定の証明書を提出する必要があります。

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