コツを掴んで確実に合格を目指しましょう。
(更新日: )
反復練習する事で誰もが習得できる技術なので安心して挑んで下さい
不器用だけど大丈夫?
大丈夫です。一番大事なことは丁寧に作業する事です。そうすることでスピードはおのずと上がってきます。
技能試験では屋内配線工事が問題として出題されます。実際に工事するのではなく、机上で器具(スイッチ、コンセントなど)間の配線と接続を行います。試験時間は40分で、完成した配線に欠陥がなければ合格となります。
すでにご自身で所有されている物があればそれを練習で利用されて、問題なければ購入の必要はありません。一般的に必要であるといわれる工具には以下の物があります。
※これらが必須という訳ではありません。
工具の入手は「電気工事士試験用のセット」として必要なもの一式がネット上でもたくさん販売されています。それらを購入されても全く問題ないと思います。
またホームセンターなどで、ご自身が気に入った物をそれぞれ購入されても構いません。
電工職人ともなれば、ペンチ一つにしてもそれぞれに拘りがあったりしますが、初めて使われるのであればその物の良し悪しも良くわからないと思います。
安価すぎて使い勝手の良くない物では作業効率が悪くなるので、判断に困るのであれば試験用セットが無難ではないかと思います。
電動工具以外は持ち込み可能です。かといって必要以上に持ち込むのはスペースの問題もあり作業効率が悪くなるので、必要最小限にしましょう。
技能試験の問題は単線図で描かれています。単線図(A)とは電気の通り道を一本の線で表した物です。例えば電源からコンセントまでを単線図で表すと、間に描かれる線は一本になります。これを実際に配線接続する場合には線が二本必要です。
このように単純な回路ならば単線図を見て頭の中で二本の線に変換出来ますが、複雑になると簡単ではありません。そのため実際に配線を行うために単線図を二本の線で描き直したものを複線図(B)と言います。
この複線図は実は試験の採点には関係がなく、必要なければもちろん描かなくてもかまいません。ではなぜ練習をしてまで描くのか、それは限られた時間内に間違う事なく配線を行うためです。これから学ぶのであれば、ぜひ複線図がきちんと描ける人になって下さい。
これは余談ですが、試験に合格する事だけに限って言えばこの複線図はなんだって構いません。自分が見て分かるのであればOKです。
変にこだわって時間をとられるくらいなら、課題の作成に時間を割いて下さい。
何度も言いますが、自分で見て分かるように書いて下さいね。
複線図を描くにしても、配線図に描かれている記号が何なのかすらわからなければどうしようもありません。記号は参考書などで全て暗記しておきましょう。では、例題の配線図を見ていきます。
(1)配線図に描かれている器具
(2)配線図からわかる事
全体がイメージ出来たところで複線図を書いていきましょう。頭の中で描くのではなく紙と鉛筆を用意して実際に描く練習を行って下さい。
複線図にした場合、電線の色にも注意して下さい。接地側(白)非接地側(黒)となり、もちろん試験でも施工条件で指定されています。
※接地側と非接地側がよく分からないという方!もう一度学科の復習をして下さい。これは電気の基礎であり電気工事士の資格者であるなら知っていてあたりまえの知識になります。
※電源の接地側(白)は絶対にスイッチ側に繋いではいけません。これは複線図を描く時のルールとして覚えてください。
紙面上は線を一本引いただけですが、実際には引掛けシーリングからきた線とスイッチからきた線の二本をジョイントボックス内でつなぎ合わせているのだという事を理解して下さい。
ちなみにこの場合に線は何本必要ですか?
蛍光灯とスイッチ(ハ)の間に線を描きます。手順はSection.5と同じです。以上で複線図が完成しました。
複線図が描けるようになったら次は実際に施工してみましょう。
自分で描いた複線図で施工が可能なのか、見て分かりづらい部分があるのであれば自分なりに工夫して改善しましょう。複線図は自分が見てわかる物でなけらば意味がありません。
施工を行うなかでケーブルを切断し外装を剥いだり、リングスリーブを使って電線の接続を行ったり、それぞれの作業で苦手と感じる部分は重点的に反復練習を行い克服しましょう。
それでは実際の試験問題を例に施工の練習を行っていきましょう。
試験の際に配布される問題用紙には以下のような内容が記載されているので、まずはよく読む事から始めます。
特に「施工条件」においては、組み立て説明書のようなものです。また間違ってはいけないポイントをわざわざ書いてくれています。
配線図だけを見ていきなり作業に取り掛かるのではなく、しっかり読む事が重要です。
図に示す低圧屋内工事を与えられた材料を使用し、<施工条件>に従って完成させなさい。 なお、
注:
施工条件
まず初めに問題用紙にしっかりと目を通します。
施工条件を確認して単線図から複線図を描きます。
複線図を間違えて描くともちろん完成品も間違えた物になってしまうので、ここは落ち着いて描きましょう。
ケーブルを指定の長さで必要な本数分カットします。ジョイントボックス内や器具に接続する部分の外装を剥いておきます。
例)ジョイントボックス間では両サイドに100mmずつプラスしてカットします。
(1)引掛けシーリングと指定された長さのケーブルを接続する。※施工条件にある電線の色に注意して下さい
(2)ランプレセプタクルと指定された長さのケーブルを接続します。接続のための輪作りはYouTubeなどの動画がとても参考になると思います。「ランプレセプタクル輪作り」などで検索してみてください。
※施工条件にある電線の色に注意して下さい。電球を取り付ける際に人が触れる可能性の高い受け金ねじ部分に接地側の白を接続します。
(3)すべてのスイッチを図の順番に従って上から取付枠に組み付けます。※取付枠に「上」の表記があります。
(4)スイッチに指定された長さのケーブルを接続します。一本をスイッチ(イ)に接続します。もう一本をスイッチ(ロ、ハ)の白側に接続します。
電源側は何もせず配線の被覆も剥く必要はありません。蛍光灯は施工条件で省略すると記載されているので、電源側と同様に配線も切りっぱなしのままで大丈夫です。
作成した器具やケーブルを配線図通りに並べておきます。それぞれの位置を間違えないようにするためなので、大まかに並べて大丈夫です。
ここは施工条件で「リングスリーブで接続」と指定されているので、全ての接続箇所(5か所)をリグスリーブで接続して下さい。
「電源線の白」と「引掛けシーリングの白」と「ジョイントボックスBへの渡り線の白」を接続します。ここで注意するのは【電源からの接地側電線には、すべて白色を使用する】と施工条件にあるので、全て白色の電線で接続してください。
もう一つ使用するケーブルの種別も配線図の指定をよく確認して間違いのないように注意してください。使用するスリーブのサイズは(小)になります。
次に「電源線の黒」と「スイッチ(イ)」に接続された黒とを接続します。ここでも【電源から点滅器までの非接地側電線には、すべて黒色を使用する】の条件に従って必ず黒どうしを接続して下さい。同様にスイッチ(ロ、ハ)への渡り線も必ず黒でなければいけません。
スリーブのサイズは(小)です。接続する電線が二本なので(〇)を使ってしまいそうですが、電源線の太さが2.0mmなので(小)を使います。
次に「スイッチ(イ)」の白と「引掛けシーリングの黒」を接続します。
上二つの工程を施工条件通りに行うとここは必ず白と黒を接続する事になります。このように接続する順序も考慮して行うと間違いが起こりません。リングスリーブは(〇)を使用します。
次に「スイッチ(ロ)から出ている電線」と「スイッチ(ハ)から出ている電線」をそれぞれ「ジョイントボックスBへの渡り線」に接続します。ここでは電線の色指定はありません
ここでの指定は差込型コネクターによる接続です。接続箇所は3箇所で使用するコネクターは3Pが1個、2Pが2個です。
なにも難しいことはありません。はじめに手順を決めて、その手順どおりに進める事です。
技能=仕事です。仕事には段取りというものがあって、これがきちんと出来ていない現場は必ずグダグダになります。もちろん段取りどおりにやらない場合も同じことですよ。
とにかく完成させなければその時点で失格となってしまいます。
練習問題を行うときは必ず時間を測りながら行う事!そして必ず時間内に完成させる事を目標にして下さい。
これをやらずに本番に挑んで未完成で終わる方が多いようです。せっかく手順が頭に入っているのにもったいない事だと思います。
本番では誰しもが緊張し焦りが出る方も少なくありません。
それはいつもの8~9割程度しか力が出せないかもしれないという事です。制限時間の6~7割程度で完成するように練習を行っていれば問題ありません。
もう一つ本番では作業スペースが限られているという事。はっきりいって狭い!部材でも落とそうものなら一気にテンパる事間違いなしです。
練習は机の上で範囲を決めて行ってみましょう。もちろん工具も同じスペース内に置いて行います。
何がいけないのか欠落の意味を理解しなければ防げない。
当たり前の話ですが作るのは電気回路なので、最終的にはそこに電気が流れる事が前提になります。よって電気を流した時に安全且つその回路が正しく機能するのかを技能試験では試されているわけです。
まず安全でない物は重大な欠落となります。例えば心線がむき出しであれば感電や漏電の危険があります。接続箇所が不十分な場合は火災の原因になります。
もう一つ試験問題には配線図と施工条件が書いてあります。これに従わないと欠落となりますよ!例えば器具の位置を逆に取付けた ら欠落です。回路上は問題ないからまぁいいか、なんてのは通用しません。
試験官が後で確認し易いようにスッキリと仕上げること。
見た目!これが意外に大事なんですよ。もしあなたの家の電気配線がぐしゃぐしゃだったらどう思いますか?「この電気工事大丈夫なのか?」と思いますよね。
もしあなたが試験で完成させた物がぐしゃぐしゃなら試験官がどう思うか、もうおわかりですよね。
今後あなたが電気工事屋さんとしてやっていく上でもキレイな仕事を心がけてくださいね。
月並みですが、落ち着いていきましょう。周りを見渡せば、すごい人が居ます。いきなり配線をパチパチ切り出したり、まったくセオリーを無視しているじゃないか!とそれだけで焦ってしまいそうですが、そこは大きく深呼吸して自分の仕事に集中して下さい。
もう一つ、どんな形であれ最後まで完成させてください。未完成のものはその時点で失格になってしまうので。
過去試験問題と解答を見る関連記事(電気と知識)