CPUの交換を試みた結果、ほとんどのパーツを交換するはめになったというお話です。 ほぼ自作でPCを作り上げるのと同等の作業になるので、誰でも簡単にとは言い難いと思います。
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CPUだけ交換すれば最新のPCと同じように動きがスムーズになりますか?
ほとんどの場合CPUだけを交換する事は出来ません。
CPUの交換ともなると、ある程度の知識が必要になります。
とは言ってもそれ程難しい事ではなく、間違った物を買ってしまわないための知識なので、ここは飛ばさずに見てください。
出鼻をくじくようですが、後でがっかりしないよう先に言います。
最新のCPUに交換する場合、ほとんどの場合今付いているマザーボードには適合しません
CPUには無数の足(ピン)が付いており、マザーボードにはそれを差込めるソケットが付いています。
もちろんその形状はピッタリと一致しています。
但し、CPUの形状も世代によって変化しており、それに合わせてマザーボードも変化しています。
その結果、CPUを交換する場合マザーボードの交換も必要ということになります。
CPUの世代が近い場合はマザーボードのソケット形状が一致する場合もあります。
但し、ソケットが共通でもチップセットの違いにより作動しない場合があるので注意しましょう。
チップセットとは
PCには様々な機能がありますよね
全てをCPUでやっているわけではなく、マザーボードに搭載されているチップセット(大規模集積回路)というのが補助的な役割を果たしています。
また、このチップセットにも種類がありPCの性能を左右します。
CPUを選択する際に、次の二代メーカーから選びます
「Intel」と「AMD」です。
今お使いのPCにもいずれかのCPUが使われていると思います。
初めに選ぶと言いましたが、現在と違うメーカーを選択するならマザーボード交換も必須です。
マザーボードはCPUメーカーに対して専用品となっているからです。
シェアでいうとIntelが圧倒的に多いと思います。
性能の差ではわずかにIntelに軍配があがりますが、見方によってはほぼ同等ではないかと思います。
価格は同程度のスペックのもので比較してもAMDが少し割安です。
Imtel | 価格 | AMD | 価格 |
Core i3-10100 | 15,000 | Ryzen 3 3100 | 12,000 |
Core i5-10400 | 22,600 | Ryzen 5 3600 | 21,800 |
Core i7-10700K | 49,000 | Ryzen 7 3700X | 36,000 |
Core i9-10900K | 65,500 | Ryzen 9 3900X | 54,800 |
名前の通りCPUを冷却するためのファンです。
同じCPUでも「CPUクーラーが付き」と「CPUクーラー無」があったりします。
CPUクーラーは必ず必要なので、CPUクーラー無しのパッケージを購入してしまった場合は後から買い足さないといけません。
通販で買う場合はよく確認してから購入しましょう。
「クーラー無パッケージとは」
CPUクーラーには水冷式や静音ファンなど、純正品よりも高性能な物が販売されています。
はじめからそういったCPUクーラーを取り付ける場合、クーラー無パッケージなら無駄がありません。
よほど高負荷となるような使い方以外では純正クーラーでも十分だと思います。
まずは自分のパソコンについているCPUを確認しましょう。
メーカー、発売時期、性能などを型番から調べる事が出来ます。
Core iシリーズ
1世代なら数字が3ケタ、2世代以降は数字の一番前で確認します。例えば「Core i5 4670k」なら4世代となります。
最新は10世代なので10から始まります。
だったんですが、時がたつのは早いもので今は11世代となりました。
よってあたまの数字は11からはじまります。
さらに時は流れて12世代です。
言うまでもありませんが、頭の数字は12となっています。
「Pentium」や「Celeron」のCPUなら「Core iシリーズ」に交換は必須でしょう。
Ryzenシリーズ
2017年に発売がスタートしたモデルなので比較的新しい物です。CPUを交換しなくても、もうしばらくは現役で使えそうですがもちろんアップグレードも可能です。
現在第1世代のCPUなら最新の3世代へ交換する価値は十分にあると思います。
Ryzenはシリーズ内で共通のソケットを採用しているので、場合によってはCPUだけの交換で済みます。
それ以前のCPUなら是非ともRyzenシリーズへアップデートをおすすめします。
この場合はソケットも異なるので、マザーボードも交換する必要がります。
AMDにはAシリーズやFXシリーズ、AthlonシリーズなどIntelに比べ複雑なラインナップになっています。
しかしいずれにせよ、5年以上使っているPCならRyzenシリーズへのアップデート対象だと思って間違いないでしょう。
Ryzenシリーズでもこの記事を書いた時より新しい物が既に発売されています。
最新は5000番台で、第4世代となります。
こうなると買い時が何時なんだかわかりませんよね。
買おう!と思い立った時の最新を買いましょう。
CPUにもグレードがあります。
選択肢が広いのは良いんですが、その分どれを選べばいいのか正直迷いますよね。
予算と性能を照らし合わせて、一番いい落としどころを見つけていくのが良いのではないでしょうか。
つぎの三択になると思います。
Intelなら「Corei3」、「Corei5」、「Corei7」
AMDなら「Ryzen3」、「Ryzen5」、「Ryzen7」
数字が上がるほどに性能もアップします。
Core i5を選んでおけばビジネス用途はもちろん、インターネットや動画の閲覧なども快適に行う事が出来ます。
例えばYouTubeなどの配信や動画アップのための編集などを行う方、ゲームを行う方ならもうワンランク上がおすすめです。
このような使い方をするならCPUの性能だけでは十分賄えないので、別途グラフィックボードが必要になります。
CPUの交換に至った背景があるなら、もちろんそれに見合ったものを選択する必要があります。
ちなみに私の場合は、動画編集ソフトの「Adobe Premere Pro」のバージョンアップ後にソフトを立ち上げると、突然警告が表示されるようになったからです。
「あなたのPCでは力不足なので、このまま使ってトラブルが起きても知りませんよ」という内容だったと思います。
そういわれて推奨されるスペックを確認したところ、全く持って届いていない事を知り愕然としました。
『推奨』
Intel® 第 7 世代以降 CPU または同等の AMD CPU
『自分のPC』
Intel® 第 4 世代の CPU
現在最新のIntel® 第 10 世代から比べれば6世代も前の物になります。
また、グラフィックカードもリストに品番が無くアウトだと思いつつも一応調べてみた結果、必要最小限のモデルより低スペックだという事が判明しました。
他にHDDよりもSSDが推奨されいます
このように具体的な用途が決まっているなら推奨されるスペックに合わせて選んでください。
もちろんですが「Adobe Premere Pro」を立ち上げた時の警告は出なくなりました。
これだけでも気分が上がります。
動画編集についてはフル HDまでなら特に問題なく行えています。
4Kも試してみました、プレビューでカクカクしたりエフェクトによっては再生されないなどの現象が発生しました。
プレビュー画質を最低にした場合ある程度の編集は可能ですが、画面が荒くなるのでやはりストレスです。
8Kは考えたこともありません。
レンダリング時間についてはもともと気にしていなかったので比較できませんが、 6分程度の動画で形式をYouTube 1080 フルHD にして書き出した場合1分半程度で終わります。
結果的に今回のアップグレードは大成功です。
PCの全体の動きが加速された事を十分に体感する事が出来ます。
はじめにも話しましたが、最新のCPUに交換するためにはマザーボードの交換が必要だと知りました。
さらに、マザーボードを交換する事で現在のメモリーカードが規格外となり必然的に交換です。
まぁここまできたら同じという思いで、HDDからSSDへの交換とグラフィックボードの交換も行いました。
これだけやれば完全にリノベーションですね。
冗談で言ってみたんですが、「リノベーションPC」って商品がちゃんと存在していました。
リノベーションPC
中古PCのパーツを一部交換して性能アップさせたものです。
業務用としてなら価値はあるのかもしれません。
きちんと動作するなら安いに越したことありませんよね。
元となるパソコンですが、ユニットコムさんから2013年の8月に発売されたモデルでLesance DT GS7000-LCi5-IXB
なんと
水冷式のCPUクーラーを搭載し、ゲーミングパソコンとして登場したようです。
販売価格は89,980円(税込)で、価格からわかるようにそれほど高スペックな物ではありません。
ですが、当時のOS Windows7で動いてた時は十分快適だったと思います。
10にアップデートしてからは色々な面で問題ありでしたが、そこは時代の流れなので仕方ありません。
で、具体的なスペックは以下のようになります。
パーツ | メーカー | 型番 | 価格 |
CPU | インテル(R) | Core i5-4430 | - |
マザーボード | インテル(R)セット | Z87 Express チップ | - |
HDD | Western Digital | 500GB | - |
メモリー | TeamGroup | DDR3-1600 4GB×2 | 7,180 |
グラフィックボード | NVIDIA(R) | GeForce GTX 650 | - |
次は今回交換したパーツと費用です。「HDD」「光学ドライブ」「電源」「ケース」など交換したもの以外はそのまま使用しています。
パーツ | メーカー | 型番 | 価格 |
CPU | AMD | Ryzen 5 3600 | 21,800 |
マザーボード | MSI | B450 GAMING PLUS MAX | 9,988 |
SSD | PLEXTOR | PX-512M9PGN + | 12,980 |
メモリー | TeamGroup | DDR4 2666Mhz PC4-21300 8GBx2 | 7,180 |
グラフィックボード | Palit | GeForce® GTX 1660 | 20,537 |
同じような構成で新品のパソコンなら110,000円程度で購入できると思います。
今回の改造費用が72,477円なので、この30,000円をどう見るかは皆さん次第です。
例えばこの差額分を上乗せしてさらに高性能なPCへアップグレードするというのも一つの方法ですよね。
今回はマザーボードも交換となるので、接続されている全てのケーブルを外す必要があります。
いわゆるバラバラの状態にするという事です。
おそらく内部にはけっこうなホコリがつまっていると思うので、この際きれいに掃除をしておきましょう。
特にクーリングファン辺りは重点的にやっておきましょう。
カバーをはずした所です
パーツを取り外してスッキリしたケースの中です。
取り外したパーツです。
HDD、DVDマルチドライブ、電源などが残った状態です。
メモリーとCPUはマザーボードにくっついたままです。再利用するとしてもこのセットで使うしかないので、このまま保存ですね。
大まかな手順は次のようになります。
これだけです。ドライバー1本あれば簡単に出来る作業です。
マニュアル
マザーボードには組み立てマニュアルがついています。
マザーボードを選ぶ基準として、マニュアルに定評がある物を選択するというのもありかもしれません。
組み立ての初心者にとってはそれくらい重要なものなんですよ。
これから交換するパーツ
CPUの取付
はじめに、マザーボードにCPUを取り付けていきます。
このBOXはクーリングファンがセットになっています。なかなかしっかりとしたものが付属されています。
CPUは正方形なので、どの向きでもよさそうですが、きちんと決まった方向があります。マザーボードの取扱説明書をよく見て確認しましょう。
ロックピンを持ち上げ、CPUをソケットに差し込んだ後にピンを戻しましょう。
CPUクーラーの取付
マザーボードに元々ついているソケットを取り外します。
CPUクーラーのタイプによってはソケットが必要な場合がありますが、今回については不要です。
CPUクーラーのヒートシンク部分にはグリスが塗布されています、指でさわったり汚さないように注意して下さい。
次にCPUクーラーをネジ穴に合わせてCPUの上に被せていきます。
ネジを締め込むときは斜めに入らないように真っすぐに、一ヶ所を一気に締め込むのではなく対角線上のネジを少しずつ順番に締め込むようにしましょう。
この時CPUクーラーから出ている電源コネクターをマザーボードの指定の場所に差し込んでおきましょう。
マザーボーに「CPU_FAN」と刻印されています。
メモリーの取付
メモリーはソケットに差し込むだけで非常に簡単ですが、マザーボードによって推奨される取付順序があります。
デュアルチャンネルといってメモリーが標準より少し高速になります。
やはり取扱説明書をよく読んでから取付して下さい。
今回は8GB×2枚差しだったので、この様な取付になっています。
ビデオカードの取付
ビデオカードはマザーボードをケースに取付けた後に行います。
ケースの背面と干渉するので先に取付けてしまうと入らなくなります。
ビデオカードをソケットに差し込んだあとに、ケース背面にネジで固定します。
ケースによって固定のやり方が多少違う場合もありますが、基本は同じです。
各種コネクターの接続
最後はマザーボードにそれぞれのコネクターを接続していくだけです。
もちろん間違って接続した場合はPCが立ち上がらないので、しっかりと取扱説明書を見ながら行いましょう。PCケースの使用や搭載されているパーツによって違いがありますが
基本的には以下の様なものがあります。
ほとんどのものは形状から差込む位置が自然とわかります。
この中でもフロントパネルコネクターは少しだけ分かりずらいので解説します。
この図ではPowerLEDなら2番と4番のPINに+と-を合わせて差し込みます。
コネクター側に+や-の標記があればそれに合わせます。
標記が無い物では、色線が+で白線や黒が-となります。
全部黒線なんですけど!
こんな場合コネクターの+側に▲印が入っていたりします。必ず目印があります、注意深く確認しましょう。
CPUなどのパーツを最新のもに交換すれば単純に処理速度が速くなるという事ですが、具体的はどのような効果があったのか 今回の結果をお伝えします。
原因不明のブルースクリーンが出なくなった。
月に何度か発生していた原因不明のブルースクリーンエラーがぴたりと出なくなりました。
ネットで検索しては色々な方法を試しましたが、これだという原因にたどりつけないままでした。
今回パーツの入替で解消したという事は、何れかのハードがトラブっていたと考えられます。
ちなみにOSはクローン化で以前のまま利用しているのでソフト面でのトラブルではないと言えます。
Windowsアップデートがらみでのトラブルがなくなった。
PCの動きが異常に重く感じるような時は必ずといっていいほど更新が入っていて、おそらく準備のために裏でコソコソと何かしていたのだろうと思います。
そういう時は何かするたびに、カーソルがクルクルと回って「しばらく待ちください」状態で、何かトラブルが起こりそうな気配にビクビクしながら構えていたものです。
また、実際に更新がはじまると進行状況を示す棒グラフ〇〇%から進まず「固まってるの?」「終わってるの?」と不安だけが募っていきますが「絶対に電源切るな」と初めにいわれりゃ、普通は待つしかないですもんね。
しかしパーツ交換後の今では「アップデートあったんだ」と普通更新ボタンを押せるようになり、精神的重圧からから解放されました。
起動&終了が速い。
これは主にSSDの恩恵が大きいと思いますが、ホントに感動しました。
これだけでも十分におすすめする価値があると思っています。
朝のルーティンとして、まずはPCのスイッチ、次にコーヒー、パスワードを入れて立ち上がるのをゆっくり待つ。
くらいの感じだったのが、コーヒー淹れてるくらいの時間があれば社内システムにログインしてタイムカード押し、連絡事項確認してメールのチェック位まで出来ます。
本当にサクサク動くという言葉ぴったりな感じで画面が切り替わってくれます。
関連記事→『SSDの換装方法を簡単に説明』
フリーズしない。
今までは同時に立ち上げるアプリケーションはせいぜい2つくらいまでと決めていました。
ブラウザにおいても、出来るだけ複数の画面を開かないように意識して、開いては閉じるというように癖つけていました。
なぜって、フリーズや強制終了するからです。
それが、今は
自分で言うのもなんですが、なんと雑な使い方をしています。
ブラウザのタブ何枚開いてるんだーってくらいの感じですかね。
よく使うソフト「イラストレーター」「フォトショップ」「インデザイン」を開きっぱなしだったりもします。
しかもそれぞれの動きが軽快です。
結局のところ
7年も前のPCではWindows10や最新のアプリケーションを使うには力不足だという事でしょうか。
あくまでのこの基準で考えてください、最新版と年代の近いPCであるほど、その性能差は体感出来きません。
何度も言いますが、ほんと最新のPCは安価な物でも性能がいいんで手っ取り早いのは買替です。
私と同じような条件の方がいらっしゃるなら是非PCのアップグレードとその後の効果を体感してほしいと思います。
今更なんですが、これまでの説明は全てデスクトップPCを対象にさせてもらいました。
で、中には「俺はノートPCなんだよ!」とおっしゃる方もいらっしゃると思いまして。
結論から言うとノートPCのCPU交換は出来ません。
色々な面から見て、私自身を含めて素人が手を出す範囲ではないと思っています。
リスクとリターンを考えてもやるだけの価値は見当たりません。
そもそも交換するためのCPU自体が簡単には手に入らないと思います。
じゃあどうするか、最新のモデルに買替をおすすめします。
ノートパソコンの寿命は3~5年と言われています。
特に持ち運びが多い方なら傷みも早くなるでしょう。
大手メーカーでは春、夏、秋と年に3回もモデルチェンジを行っています。
少し時期を外せば価格がガクンと落ちるので、最新のCPU搭載モデルもお得に手に入れる事が出来るでしょう。
それでも今のPCを何とかしたいというなら、1万円ぐらい出してSSDに換装してみてはいかかですか?
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