その役割を理解して正しく使う事で本来の性能を発揮します
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その名の通り、24時間ずーっと自動的に換気を行うシステムです。
じゃあ換気扇を一日中回し続ければ24時間換気システムでしょ?
それだけでは24時間換気システムとは言えません。ではいったい普通の換気扇と何がどう違うのかを見ていきましょう。
建物にはその大きさなどにより必要な換気量が定められています。
それを達成すために必要な換気扇を設置するわけですが、排出すると同時に外気を取り入れる必要もあります。
また給気と排気を行う場合、空気の流れもコントロールしなければなりません。
トイレやお風呂側からリビングに向かって空気が流れるような事になっては大変ですから。
このように計画的に空気の流れをコントロールしながら換気を行っているのが24時間換気システムなんです。
建築基準法では
「窓を開けなくても換気装置を利用して強制的に室内の空気を入れ換えるためのシステム」となっています。
ここで一つポイントとなるのが、「窓を開けなくても」という部分です。窓を開けた場合、計画された通りにはならないという事に注意してください。
この建築基準法はあくまで建物に24時間換気システムを設置しなさいと言っているのであって、その利用については建物の所有者しだいと言う事になります。
24時間換気専用に設置された装置で、主に居室(リビング、寝室、和室)の給気と排気を行います。
この装置は排気と給気を同時に行いその熱交換で外気と室内の温度差を少なくしたり、高性能フィルターでPM2.5や花粉の除去を行う優れものもあります。
本体はローカの天井に設置されていたり、クローゼットや天井裏に設置されている場合もあります。各部屋にはこの本体につながる給気口や排気口が設置されています。
換気扇でまず思い浮かぶ場所は?
キッチン、トイレ、お風呂場あたりでしょうか。
24時間換気システムといっても従来の換気扇が無くなった訳ではなくシステムの一部として利用されています。
俗にいうレンジフードです。
主に調理などで出た煙や臭いを排出するために利用しますが、24時間換気モードがついているもはシステムの一部として排気用に利用されます。
最近ではトイレ自体に換気扇がなく別の場所に設置された換気システムに配管が接続されているような場合も多くあります。
こういった場合はもちろん常時換気が行われているので何も気にする必要はありません。
最近では浴室換気・乾燥・暖房機という多機能型の換気扇が多く設置されていて、洗濯乾燥や冬場の寒い浴室内を事前に温めたりする事も出来ます。
こちらにも24時間換気モードがついていて入浴などで利用していないときは24時間換気システムの一部として排気運転します。
従来はそれぞれの場所で、必要に応じてスイッチをON・OFFしていたと思います。
臭いが消えたら止める、湿気が取れたら止める、こんな感じで使われている方が多いのでないでしょうか。
現在もそれぞれの基本用途は変わりませんが、それにプラスして24時間換気機能が追加されシステムの一部として利用されています。
ワンルームマンションなど必要換気量が少ない場合、浴室の換気扇だけで十分な場合もあります。この様な場合は自然吸気となるので、部屋の壁に給気口が取り付けられています。
ではいったいこの24時間換気システムは何のために必要なものなんでしょうか?
話は前後しますが、2003年に建築規準法の改定で24時間換気システムの設置が義務化されました。
これによりそれ以降に建てられた物件には24時間換気システム又はそれ相応の条件を満たす物が必要になります。
改定に至った主な理由の一つとして、その当時に問題となったシックハウス症候群(アレルギー)の対策として定められました。
でここからがやっと本題の役割なんですが
このアレルギー源(空気中に浮遊する物質)を強制的に室内の空気を循環させることにより排出するために設置されています。ポイントは、「強制的」「室内(建物の居室全体)」であるということです。
窓を開放しただけの状態では風の流れる方向は予測できないので風まかせということになります。
無風ならもちろん室内の空気はよどんだままで強制的にはなりません。
キッチンやトイレなど一部の換気扇を回すだけでは全ての部屋の換気はとうてい出来ません。
そこでユーザーが何もしなくても強制的に室内の空気が循環されるような装置を設置するように義務付けました
シックハウス対策に係る法令等は、平成15年(2003年)7月1日に施行されました。
国土交通省(建築基準法に基づくシックハウス対策について)
実際には家の中の空気をどのように循環させているのでしょう?この方法には以下の図に示すように三つの方法があります。
これらは建物の構造や周りの環境を加味して最適なものが設計で取り入れられるもので、どれが一番優れているとは一概には言えません。
この機会にあなたのお家の換気システムを確認してみて下さい。
そして換気扇には必ずフィルターがあります、お掃除大丈夫ですか?
壊れると膨大な修理費用が…こまめなお手入れをおすすめします。
皆さんは24時間換気を実際には使われているのでしょうか?
実際には使われていない方も多いのではないでしょうか、24時間換気システムと言えどもスイッチを切ればただの換気扇です。
使わない理由としてこんな話をよく耳にします。
結論から言うと、何がなんでも回し続けなければならない、というものではありません。
上の例のように窓を開放した状態で換気扇を回してもあまり意味がありません。
音が気になって眠れないのに我慢するとよけい健康に悪いですよね。
そういった場合は臨機応変に使い分けていただいて良いと思います。
※但し、まったく使用しないのはすすめしません。
1日のうちでONとOFFを使い分けるようにしましょう。
現在では、建築資材も進歩しておりシックハウス症候群の心配もほぼ無くなっているようですね。
結露には十分に注意が必要になります。
24時間換気は湿気を取り除くことに非常に貢献します。
24時間換気を停止する時間が長くなるほど、結露が発生するリスクも高くなるという事を念頭に置いて下さい。
注意が必要なのは結露は目に見えない部分でも発生するという事です。
季節にもよりますが、ご自宅で結露が多く発生する場合は是非24時間換気システムを活用してみてくださいね。
結露について少し説明しています、興味のある方はこちらからどうぞ
結露対策を行うためには、その原因を知る事から始めよう。
操作パネルに強・弱や標準のスイッチがあるものについては押すだけで風量を切替える事が出来ます。
このような切替スイッチが無いものや、操作パネルじたい見当たらない場合は?
一概には言えませんが、基本的には自分では出来ないと思われた方が良いと思います。
建物に対しての必要換気風量は決められているので、設計の段階で必要な風量が得られるように換気扇の数、設置場所や機器が選定されています。
必要換気風量を下回る事は出来ないので、大抵の場合は必要換気風量以上になっていると思われます。
このように基本的に調整する必要はありません。
しかし「音が気になる」「寒い」などの理由でもう少し弱く出来ないのかと思われる方もあるかと思います。
例えば大幅に必要換気風量を上回っている場合なら、その分を抑える事は問題ありません。
現在の換気風量が適正かどうかは自分で判定出来ないので、どうしても気になるのなら工務店やハウスメーカーに相談するしかありません。
但し24時間換気システムに操作パネルが無く、単体の換気扇を壁に直接取り付けてあるようなタイプなら風量調整は出来ないと思って下さい。
24時間換気システムはさまざまな建物の大きさに対応できるように、内部で換気風量を変更できるようになっている物があります。
但しこれは機器を設置する工事業者の方が建物に合わせて設定するもので、ユーザーが安易に変更出来るようにはなっていません。
例えばご自身で風量の調整を行うために24時間換気システムの製造メーカーへ、変更方法を問い合わせても教えてもらう事は出来ないでしょう。
では調整自体を依頼すれば?
建物に合わせて設定された換気風量をメーカーが勝手に変更するわけにはいかないので、やはり工務店やハウスメーカーへ相談するように促されると思います。
24時間換気システムでは外気を取込んでいるので、給気口から流れてくる風は外気温に左右される事になります。
ここで問題になるのが冬場の冷気です。
夏場も影響は受けているはずなんですが、体感的な物なのかあまり問題になる事は少ないように思います。
でこの冷気はどうしたもんでしょうか。
給気口には風向きを変えられるものがあります。直接風が当たらない方へ調整してみましょう。
給気口に開閉式の蓋がついているなら、部屋ごとに調整すれば良いと思います。
寝室なら就寝時に閉じて起床の時に開くなど、寝ている時の冷気はこたえますからね。
それでもダメだという場合、一時的にでも停止させるしか方法はありません。
機械的には問題ありませんが、換気が出来なくなります。
今では少なくなりましたが、石油ストーブや瞬間湯沸かし器など換気が必要な事をお忘れなく。
場合によっては結露の発生により建物を傷める原因にもなります。
給気口に何か詰めて無理に塞いだり、布などをかぶせて風量を弱くしている。
開閉式の給気口を全て閉じたままにしている。
モーターに負荷がかかり寿命を縮めることになります。
最悪の場合はモーター交換をするはめになり、高額な費用を支払うことにも…。
皆さんのお部屋の換気量はどのくらい?様々な条件からその部屋の換気に必要な風量が定められています。
計算結果や情報等の使用はご自身の責任の範囲でご利用下さい。詳しくはサイトポリシーをご確認下さい。
換気回数とは、ある部屋の換気を1時間行った時にその室内に充満した空気が何回外気と入れ替わったかを表したものです。建築基準法で義務付けられているのは、住宅の居室(居間や寝室などの住人の方が日常過ごす部屋)は1時間に0.5回以上の換気量が必要とされています。
全ての項目を入力して下さい。
玄関のドアを開くときに重く感じたことや、常に重さを感じているということはありませんか?どこかの窓を1ヶ所開けた状態でドアを開いてみてください。
軽くなったのであれば、24時間換気システムが影響しているといって間違いないでしょう。
以下のような条件が重なる事によりこういった現象が起こる場合があります。
原因としては、室内の給気と排気のバランスが取れていないことにより、気圧の影響で玄関ドアが内側へ引っ張られている状態となっているためです。
給気が正常に行われていないのは、以下の様な原因が考えられます。
最近の建物は気密性が高くなったぶん、使用方法を誤るとこういった現象が起こります。
この現象を放置したまま使用することはドアの重さだけではなく、換気扇に必要以上の負荷がかかるのでモーターの傷みが早くなります。
またキッチンでレンジフードを回した時だけ気圧のバランスが崩れドアが重くなる場合がありますが、これは一時的なものなので問題ありません。
現在では住宅に不可欠となった24時間換気システムですが、まだまだ不便に感じる部分も多く見受けられます。
最近ではさまざまなモノがIOT化されており、住宅も例外なくIOT化が急速に進んでいます。
そんな中この24時間換気システムもIOT化の対象となるのでしょうか。
このようなことが実現されれば今の不便さが少し解消されるかもしれませんね。
24時間換気を運転する事により室内の汚れた空気は常に排出されますが、同時に外気を取り入れています。
外から取り入れられるこの空気、必ずクリーンだとは言えませんよね。PM2.5や黄砂、花粉においては年中いろんな種類のモノが飛散しています。
汚れた空気を排出しながら有害物質を取り込んでいては、まさに本末転倒ですね。しかし大抵の場合は給気側にフィルターがあり、ある程度の粉塵は防いでくれています。
室内での花粉が気になる方は一度ご自宅の24時間換気システムを確認してみましょう。フィルターの有無、場所、性能は設置されているシステムによって違いがあります。
最近では大型の換気システムで建物全体の給排気を集中的に管理しています。
こういったタイプであればPM2.5や花粉への対策もしっかりおこなわれているので性能面での心配はないでしょう。
とは言ってもフィルターの清掃、交換などお手入れを怠っては効果が無いうえに故障の原因にもなるので注意して下さい。
部屋の壁側(外側)給気口を確認してみましょう。
フィルターが真っ黒に汚れている場合、新しい物に交換しましょう。目詰まりしたフィルターは全くその役目を果たしません。
フィルター交換時期の定めがあったとしても、環境により汚れの度合いも変化します。
こまめにチェックを行い見た目に目詰まりがあるならば交換されることをおすすめします。
こういったフィルターは使い捨てなので、洗うのではなく必ず交換して下さい。
給気口のカバーを外しても穴が開いているだけでフィルターが取付できるような構造でない場合、もちろん花粉は入り放題です。
こういった場合カバーの表面に市販のフィルターを貼りつけるだけでもある程度の効果があります。
専用フィルターが無くてもフィルターの素材はハサミなどで簡単に切れるので多少大きさや形が違っても自分で加工する事が可能です。
特に賃貸物件などではこういった作りも多く、もとはフィルターが付いているタイプでも前の住人が無くしてしまったまま放置されていたりします。
しっかりフィルターが付いている場合でも従来のフィルターであればおそらく普通にホコリを取るだけです。
最近のもは高性能フィルターといって花粉以外にもPM2.5などの有害物質も取り除いてくれる優れものです。
メーカーでもお客様のニーズに合わせ交換用フィルターを高機能タイプに変更している場合があるので、一度確認してみてはいかかでしょうか。但しこういったフィルターはお値段も割高になっています。
24時間換気が作動しているにもかかわらず、室内でさまざまな臭いがする場合があります。
一体どうして?
そもそも24時間換気システムの役割は、室内の汚れた空気を排出する事であって消臭するための機能は備えていません。
24時間換気システムの仕組みは既に説明させて頂いた通り、室内の汚れた空気を排出すると同時に外気を取り入れています。
例えば24時間換気システムを停止して臭いが消えるのであれば、風の流れが影響していると言えます。
もし風の流れが見えたのなら、臭いの元を簡単に突き止めることが出来るのでしょうが。
何かのCMでもありましたよね臭いは元から断たないとダメ!って。
例えばお庭でバーベキューをしたとしましょう。
炭火で焼くお肉やシーフードは格別ですが、その代償として発生する煙や臭いのために野外でするのが基本です。
もちろん煙が入らないように家中の窓はしっかりと締め切っています。
飲み物を取りに部屋に入ったらなんと部屋の中にはバーベキューの臭いがしっかりとしていました。
これは一体どういう事?
察しの良い皆さんはもうお分かりでしょうが、24時間換気システムがしっかりと仕事をしている証です。
要は建物の周囲で発生した臭いは室内に入ってくる可能があるという事です。
※これはあくまで一例であり、色々な条件を加味した場合必ずしもそうなるとは限りません。
臭いの原因は様々で例のような外的要因もあれば24時間換気システム自体の問題もあります。
また実際の臭いの種類によって原因を特定できる場合もあります。
台所、洗面所、お風呂場、洗濯機置き場などの排水管が詰まっていませんか?
通常排水管の臭いは逆流しないような構造になっていますが、汚れがひどい場合には正しく機能しない場合があります。そんな時は24時間換気システムが排水管から臭いを引き込んでしまう場合があります。
24時間換気システム本体の内部やフィルターが汚れていませんか?定期的なフィルター清掃を怠ると内部に汚れが付着してしまい、その結果臭いを建物全体へ拡散していまします。
近くに工場などの煙や臭いを発生するものはありませんか?
時々臭いがする場合は風向きの影響で煤煙が飛んでくるのかもしれません。急に臭いがするようになった場合は工場の煤煙防止装置などが故障していることも考えられます。
タバコを吸わないのにタバコの臭いがするなどは集合住宅でまれに発生する現象です。
一時期「蛍族」などとよく言われましたが、隣人がベランダで吸ったタバコの臭いが給気口から侵入する現象です。これもその時の風向きなどに大きく左右されるものです。
これら外的要因はご自身だけで解決できるものではなく難しい問題でもあります。
フィルターが汚れて詰まっている、給気側のシャッターが閉じている(壊れている)などで空気の流れが阻害されていませんか?
想定外の場所から無理に給気が行われ、そこが臭いの発生源になっている場合も考えられます。自分では目視出来ない場所に給気口がある場合は工務店などに依頼して一度点検してもらうのも良いかもしれません。
例えば排気を行うためのモーターが劣化している場合、室内で発生した臭いをきちんと排出できなくなります。とくに異常な音が発生している場合は故障の可能性が高くなります。
排気口が汚れで詰まっている場合や排気口にある逆流防止用のシャッターが壊れて開かないなどの原因も考えられます。
平成という時代の24時間換システムには残念ながら消臭という役割はあたえられなかったようですが、新たな幕開けとなる令和では24時間換気システムもまた一つ進化を遂げる事になるのでしょうか。
今の建物(一戸建て住宅やマンション)には必ず24時間換気システムが設置されています。 これは建築基準法で定めれらているからです。
言いかえれば設計の段階から24時間換気を使うという前提で建物が作られています。
ならば、24時間換気システムを動かすことによってこの建物の性能は100%発揮されるという事になります。 結果、24時間換気システムを使わないという選択肢だけはなさそうですね。
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